セラミックとインプラントの違いは?特徴・費用相場・寿命を解説

歯の治療を考える際、インプラントとセラミックの違いに迷う人は多いのではないでしょうか。
インプラントは失った歯を補う治療法で、天然歯に近い噛み心地を得られます。
一方、セラミックは審美性に優れた素材で、詰め物や被せ物として使用されます。セラミックを使った治療はセラミック治療と呼ばれます。
それぞれの治療法には適したケースがあるため、適切な選び方ができるように、治療前に歯科医師との相談が不可欠です。
この記事では、インプラントとセラミックの違いの説明や、メリット・デメリット、費用、治療期間などを詳しく紹介します。
それぞれの特徴を理解し、自分に合った治療法を選ぶためにも、ぜひ参考になさってください。
インプラントとは?
インプラントは失った歯を補うために人工歯根を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。
ブリッジや入れ歯とは異なり、隣の歯を削ったり負担をかけたりする心配がなく、しっかりと固定されるため、天然歯に近い噛み心地が得られます。
ここでは、インプラントの特徴や寿命、メリット・デメリットについて紹介します。
インプラントの特徴・寿命
インプラントは歯を失った部分の顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上にセラミックなどで作られた人工歯を装着する治療法です。以下のような特徴があります。
- 天然歯に近い見た目(審美性が高い)
- 自分の歯のような噛み心地が得られる
- 適切なケアを行えば長期間の使用が可能
一般的に、インプラントの寿命は10年以上とされており、ケアが適切であればそれ以上機能するケースもあります。
ただし、寿命は口腔内の衛生状態やメンテナンスの状況によって左右されるため、定期的な歯科検診が欠かせません。
また、インプラントを支える骨の状態も重要で、骨が十分に残っていない場合は骨造成手術が必要になることもあります。
手術の条件を満たし、適切な管理を続けられれば、長期間快適に使用できる治療法といえるでしょう。
インプラントのメリット
インプラントのメリットは複数ありますが、その中でも注目したいのは、『天然歯に近い噛み心地と審美性』を得られる点です。また、以下のような点もメリットになるでしょう。
- 周囲の歯に負担をかけないで治療できる
- 入れ歯のように外れる心配がない
- 食事の際も違和感が少ない
- 生活の質が高くなる
このように日常生活でのストレスが軽減されやすくなる点は、インプラントならではのメリットです。
周囲の歯に負担をかけずに治療できることも見逃せません。
ブリッジでは隣接する歯を削る必要がありますが、インプラントは単独で機能するため、健康な歯を守りやすいです。
インプラントのデメリット
インプラントのデメリットとしては、治療期間の長さや費用面が挙げられるでしょう。
人工歯根を顎の骨に埋め込んだ後、骨と結合するまでに数カ月の期間が必要で、治療が完了するまで半年以上かかることもあります。
また、外科手術による施術になるため、身体的な負担が避けられないことや、持病のある人は適さない場合もあります。
治療費が高額である点もデメリットのひとつでしょう。基本的に保険適用外のため、1本あたり数十万円の費用がかかることも珍しくありません。
さらに、インプラントは適切なメンテナンスが求められる治療です。
メンテナンスやケアを怠るとインプラント周囲炎を引き起こし、最悪の場合は再治療が必要になる恐れもあります。
セラミックとは?
セラミックは詰め物や被せ物として利用される素材で、セラミックを使った治療はセラミック治療と呼ばれます。
ここでは、セラミックの特徴や寿命、メリット・デメリットについて紹介します。
セラミックの特徴・寿命
セラミック治療はインプラントとは異なり、歯根が残っている場合に適用される治療法です。
セラミックは人工の詰め物や被せ物に使用される素材で、適切なケアを行えば10年以上使えることも珍しくありません。
また、審美性や耐久性の高さに定評があり、以下のような特徴を持っています。
- 審美性が高い
- 天然歯に近い透明感がある
- 変色しにくいため長期間にわたって美しい状態を維持できる
- 金属を含まないため金属アレルギーのリスクがない
ただし、オールセラミックの場合は強い衝撃に弱く、割れる可能性があるため、定期的なメンテナンスが重要です。
同じセラミックでも種類によって特徴が異なるため、理解した上で治療方法を選択しましょう。
セラミックのメリット
セラミックはメリットが多く、審美性の高さや金属アレルギーのリスクを軽減できる点には特に注目です。具体的には以下のような特徴があります。
- 天然歯に近い色合いや透明感を再現
- そのため前歯の治療にも適している
- 金属を使用しないため金属アレルギーのリスクが少ない
天然歯(もともとの自分の歯)に近い色合いや透明感が再現しやすいという点は、見た目を気にしたり前歯のように目立つ部分の治療をしたりする患者さんにとって嬉しいメリットです。
また、従来の銀歯を使った治療では金属アレルギーが出る患者さんもいますが、セラミックは金属が使われていないためその心配がありません。
セラミックのデメリット
セラミックのデメリットとしては、費用の高さや、素材によっては強度がやや低いことが挙げられます。
保険適用外の治療が多く、素材や治療方法によっては1本あたり数万円以上かかることも珍しくありません。
また、セラミック素材のひとつ『オールセラミック』は強い衝撃に弱く、割れたり欠けたりする可能性があるため、噛み合わせや使用状況によっては注意が必要です。
このような点を踏まえ、審美性だけでなく耐久性やコスト面も考えた上で、適切な治療を選択することが重要になります。
インプラントに使われるセラミック素材の種類
インプラントには、さまざまな種類のセラミック素材が使用されており、それぞれ特性や適した用途が異なります。
ここでは、代表的なセラミック素材であるオールセラミック、ジルコニアの特徴を紹介します。
オールセラミック
オールセラミックは、すべてセラミック素材で作られた補綴物(ほてつぶつ)で、審美性の高さが魅力です。金属を一切使用しないため、透明感があり、天然歯に近い色合いを再現できます。
金属アレルギーのリスクがなく、歯ぐきの変色が起こらない点もメリットでしょう。
ただし、純粋なセラミック素材であるため強度がやや低く、強い衝撃や噛み合わせの負荷がかかると割れやすい傾向があります。
主に前歯など審美性を重視する部位に適しており、奥歯などに使いたい場合には、耐久性を維持するための噛み合わせ調整や定期的なメンテナンスが重要になるでしょう。
ジルコニア
ジルコニアは高い強度と耐久性を備えたセラミック素材で、インプラントの補綴物として広く使用されています。
人工ダイヤモンドとも呼ばれるほど硬く、強い噛み合わせの力にも耐えられるため、奥歯の治療にも適しています。
ただしオールセラミックに比べると透明感がやや劣るため、前歯などの審美性を重視する部分には向かない場合がある点には注意しましょう。
審美性を重視するのであれば、ジルコニア以外の素材を選ぶのもよい方法です。
当院では世界的に一流の技工士の先生が作成されます。現在、ジルコニアの上にステインする方法が確立されており、審美的にも極めて良好です。
インプラントとセラミックの費用相場・治療期間
インプラントとセラミック治療は、それぞれ費用や治療期間に違いがあります。以下にインプラントとセラミックの費用相場と治療期間の目安をまとめました。
治療方法 | 費用の目安 | 治療期間の目安 |
---|---|---|
インプラント | 1本あたり53.3万~55.9万円 | 約3か月~5ヶ月 |
セラミック治療 | インレー:約6万~7.3万円
クラウン:約12万~18万円 |
約3週間~4週間 |
治療法を選ぶ際は、費用や治療期間を確認して、ご自身の歯の状態やライフスタイルに合わせた選択をしましょう。
選ぶならインプラント?セラミック?
インプラントとセラミックは、それぞれの特性に応じて適した治療法が異なります。
ここでは、治療法を決める際の判断基準として、具体的な注目点を紹介します。
金属アレルギー
インプラントに使われているチタンは、金属アレルギーの発症リスクになる場合があります。
チタンは生体親和性が高く、金属アレルギーを引き起こしにくいとされていますが、すべての人に100%出ないとは限りません。
一方、セラミックは金属を一切含まないため、アレルギーのリスクがなく、安心して使用できる点が大きなメリットです。
過去に金属アレルギーの診断を受けたことがあったり肌が敏感だったりする患者さんは、歯科医師と相談し、リスクを十分に理解してから決定しましょう。
前歯を治療するかどうか
前歯の治療を検討している場合、審美性の観点からセラミックが適していることが多いです。
オールセラミックは、天然歯に近い色合いや透明感を持ち、美しい仕上がりになります。
金属を使用しないため、歯ぐきの変色リスクがなく、自然な見た目を維持できることも、審美性を高めたい時に役立つ特徴でしょう。
一方、インプラントも審美性の高いセラミックの被せ物を選択すれば、自然な仕上がりが期待できます。
ただし前歯の治療では、歯ぐきとの調和や噛み合わせのバランスも重要になるため、慎重に判断する必要があります。
歯根があるかどうか
インプラントとセラミックのどちらかを決める際、歯根が残っているかどうかは重要な注目点になります。
インプラントは、歯を失った場合に人工歯根を埋め込んで補う治療法のため、歯根がない場合に行われます。
一方、歯根が残っている場合は、セラミックの被せ物や詰め物で対応できることも少なくありません。
特に、歯の神経が生きている場合はできるだけ自分の歯を残すことが望ましいと考え、セラミック治療が選ばれるケースがほとんどです。
ただし、歯根が大きく損傷している場合や、歯を支える骨が弱くなっている場合は抜歯が必要になり、インプラントが選択肢となることもあります。
自分では「インプラントができない」「セラミックができない」と思っても、歯科医師が診察した際に違う結論が出る可能性も考えられます。
治療法を決める際は、歯科医師の診断を受け、自分の歯の状態に合った方法を選ぶことが大切です。
まとめ
インプラントは歯を失った場合の治療法で、天然歯に近い噛み心地が得られるのが特徴です。インプラントの上部構造(人工歯)では、セラミックが使用されます。
一方、セラミック治療は歯根がある場合に選ばれる方法です。自分の歯を残せる場合は、セラミック治療が優先されます。
治療を選択する際は、それぞれの特徴を比較し、費用や治療期間も含めて考慮した上で、自分に合った方法を選びましょう。
福山デンタルクリニックでは、インプラントやセラミックについてご相談いただけます。高品質の素材を使い、患者さん一人ひとりに合わせた治療が可能です。
「インプラントとセラミックのどちらだろう?」「どんな素材が合うのだろう?」など、お悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。