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根管治療におけるスミヤー層 論文より

今回ご紹介するのは令和5年2023年のものです。奥羽大学の先生方の発表です。

まず初めにスミヤー層についてお話しします。

論文中に定義づけされています。象牙質が手用または回転切削器具で切削されるとき、粉々になってかなりの量のデブリスが産生される。この大部分は鉱物化したコラーゲンマトリクスの非常に小さな粒子状のものからなり、これが表面に広がり薄い層となって形成される。この層がスミヤー層と呼ばれている。と書かれています。

噛み砕いていうと、「スミヤー層」というのは、虫歯の治療などで歯を削ったときにできる、とても細かい削りかすのことです。歯の表面にうすく広がって残るこの削りかすの層を、専門的には『スミヤー層』と呼んでいます。これは、歯の中にあるたんぱく質やミネラルが削られてできた細かい粉でできています。

論文の意図 スミヤー層は必ず根管治療をすると発生する。それがどのような影響を及ぼすかはほとんど不明である。現在の見解をできるだけまとめ、その除去の必要性について検討することである。

スミヤー層の特徴

スミヤー層の定義は先ほどしたところだが、その粉の中には象牙芽細胞の突起や歯髄組織の残骸が含まれていることがある。

除去の必要性

 スミヤー層を除去する方がいいのかしない方がいいのかについては、意見が分かれている。根拠となっているのは、スミヤー層を除去する前後で、根尖や歯冠からの漏洩、最近の象牙細管内への侵入、根管碧と根管充填材の適合、根管消毒剤の効果などに関して相違があるのかどうかである。

1.根尖や歯冠からの漏洩  スミヤー層の除去に影響ありと影響なしの論文がある

2.細菌の象牙細管内への侵入 除去しない方が、細菌の侵入を防ぐという論文がある。その効果は一時的だという論文もある。

3.根管壁と根管充填材の適合 除去した方が適合は良いという論文がある。

4.根管消毒の効果 除去した方が良いという論文がある。

結論 スミヤー層の除去には賛否両論あるのが現在である。細菌の代謝産物が残っている場合が多いので除去した方が良いというのが通説である。根管充填には影響があるようである。

感想 一つのことに色々な角度からまとめていただいて、非常にありがたい論文です。臨床の現場では、適材適所といいますか、臨機応変に対応すべきだと考えております。細菌が多く潜んでそうなケースにおきましては徹底して除去する必要があるし、逆に綺麗な根管においては、無理しない程度で良いかと思われます。

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