Osseodensificationを用いた上顎洞挙上術
はじめに
ここ数年、臨床で取り入れているOsseodensification(オッセオデンシフィケーション)を用いた上顎洞底部の挙上について、最近の一例をご報告いたします。
上顎洞とは、上あごの奥、ちょうど鼻の横あたりにある空洞のことです。頬の内側にある「副鼻腔(ふくびくう)」の一部です。
上顎にインプラントを埋入する際、骨が少ない方はこの上顎洞を利用して骨を造成して、骨の厚みを確保する方法があります。その術式を上顎洞挙上術といいます。文字通り、上顎洞を挙上して骨を造成させるのです。
、ただし、この上顎洞挙上術ですが、従来の方法では骨様物質をいれて骨っぽくしているのです。やむを得ない場合は仕方ないのですが、デメリットとして、すごく腫れる、骨様物質で安定性かけるといったものがありました。
そこで今回、 Osseodensificationを取り入れていれました。
その理由は以下のとおりです。
- 既存骨の密度を高め、初期固定が得やすい
- 自分の骨なので安心、安全
- 骨削除量を最小限に抑えられる
📝最近の一例
- 患者:60代男性
- 部位:上顎左側5番
- 骨高:約7mm(CT確認)
- 術式:上顎洞挙上術+同時埋入

いきなりインプラントを埋入した後のCT像になります。
上顎洞内のインプラントの周囲に、一層白い影があるのがわかると思います。それが骨です。骨の中をドリルしていくのですが、その骨をテクニックを駆使して、再利用しているのです。
患者様には次の日に消毒にお越しいただくのですが、痛みはそれほどなかったと感想をいただきました。
メリット
侵襲が少ない。腫れにくい。痛みも少ない。
デメリット
経験が必要。適応症を選ぶ。ある程度骨が残っていないと難しい。
感想
適応症を守れば、素晴らしい術式です。どんどん導入していきます。