根管治療後に細菌が残るとどうなる? 2008年の論文より
今回紹介する論文は、2008年に発表された Clinical Implications and Microbiology of Bacterial Persistence after Treatment Procedures です。これは、根管治療後に細菌がどのように持続し、それが治療結果にどのような影響を与えるかについて詳しく検討した研究です。
根管治療後に細菌が残る原因
この論文によると、根管治療後に細菌が残る要因には以下のようなものがあります。
- 持続感染 – 根管内の細菌を完全に除去できない場合、治療後も炎症が続くリスクがあります。
- 二次感染(再感染) – 治療後に詰め物が不完全だったり、歯にひびが入ったりすると、新たに細菌が侵入する可能性があります。
- 根の形状の影響 – 曲がった根管や細い根管は治療器具が届きにくく、細菌が残りやすいとされています。
- 細菌の生存戦略 – 一部の細菌はバイオフィルムを形成し、抗菌剤に対する耐性を持つことで、治療後も生き延びることができます。
- 免疫力の影響 – 体の免疫機能が低下していると、少数の細菌が残っていても炎症が続くことがあります。
細菌の残存が治療結果に与える影響
論文では、根管充填(最終的な封鎖)時に細菌が残っていると、治療の成功率が低下する可能性があることが指摘されています。しかし、すべての細菌が残った場合に必ずしも治療が失敗するわけではなく、細菌の種類や環境の変化によっては問題なく治癒するケースもあります。この点については、さらなる長期的な研究が必要とされています。
感想
最近の研究では細菌をゼロにできることは稀であることがわかってきました。そして細菌の栄養源を絶って、埋葬してしまうという考えに流れが変わっていっています。しかしながら、どこまでの細菌が許されるのか?どの種類なら許されるのか?などわかっていないことも多数あります。ですから、今まで通りベストを尽くすしかありません。
