根管治療における洗浄液の役割
はじめに 根管治療において根管内を洗浄液で清潔にすることは不可欠です。2006年の論文の紹介をします。これはZehnder教授が2006年に発表した内容です。
根管治療の目的は、歯髄腔の感染を除去し、再感染を防ぐことです。根管内の効果的な洗浄は、歯内療法を成功するために不可欠です。洗浄液の役割は機械的清掃を補助し、壊死組織を溶解し、根管内の消毒を行うという重要なものです。
局所的な創傷清掃の重要性 根管内に残存する微生物は、歯内療法の失敗の主な原因です。したがって、根管の徹底した消毒が極めて重要です。ほとんどの感染は、深い齲蝕、歯の亀裂、または以前の根管治療の失敗によって発生します。壊死した歯髄腔内では、好ましくない病原体が生存し、バイオフィルムを形成して除去しにくくななってしまっています。
適切な洗浄液の選択 数多くの洗浄液の中でも、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)は広範な抗菌スペクトルと有機組織の溶解能力により、最も推奨される洗浄液です。クロルヘキシジンやヨウ素系洗浄液などの代替手段も検討されていますが、組織溶解能を持つNaOClが特に優れています。
補助洗浄液:キレート剤 NaOClは無機物を除去できないため、補助洗浄剤としてエチレンジアミン四酢酸(EDTA)やクエン酸が推奨されます。これらの薬剤は、石灰化組織を溶解し、スメア層の形成を防ぎ、消毒剤の浸透を助けます。
推奨される洗浄方法 効果的な洗浄方法として以下が挙げられます:
- 消毒効果を最大限に引き出すために、器具使用中は常にNaOClを使用する。
- 早期にEDTAを使用しないことで、次亜塩素酸の効果を損なわないようにする。
- 根管内に適切な時間、NaOClを充填し、十分な接触時間を確保する。
洗浄の技術的側面 洗浄液の浸透効率は、注入針の設計や根管の形成によって異なります。安全設計の細い注入針を使用することで、作業長近くまで洗浄液を届けつつ、根尖部への過剰な押し出しを防ぐことができます。
結論 根管洗浄は、根管治療の成功に不可欠な要素です。適切な洗浄液と技術を活用することで、根管内の消毒効果を高め、細菌の減少を促し、治療の成功率を向上させることができます。
感想 現在では主流となってる次亜塩素酸ナトリウムです。昔からのスタンダードになっています。
