Ngらとは?根管治療の成功率を解明した3名の研究者たち
Ngらのシステマティックレビューとは?
歯内療法(根管治療)は、歯を保存するために欠かせない治療法ですが、その成功率や治療の結果に影響を与える要因については多くの議論が続いていました。
そこで、Ngら(2007~2011年)の研究チームが、これまでの研究を網羅的に分析し、信頼性の高いエビデンスを提供したのがシステマティックレビューシリーズです。
この研究は、Yuan-Ling Ng(ユアン・リン・ング)、Kishor Gulabivala(キショール・グラビバラ)、**Parashos Peter(パラショス・ピーター)**という3名の研究者によって主導されました。それぞれの背景や功績を以下に紹介します。
1. Yuan-Ling Ng(ユアン・リン・ング)
- 出身地(推定): 中国系(香港、シンガポール、マレーシアのいずれかと推測)
- 所属機関: ロンドン大学(UCL)のEastman Dental Institute
- 主な功績:
- システマティックレビューシリーズの筆頭著者。
- 初回根管治療の成功率に関するデータを集め、成功率を約75~90%と示した。
- 研究設計とエビデンスベースの歯科医療を支える重要な研究を多数発表。
Ng氏は、臨床研究の方法論に精通し、根管治療の成功に必要な要素を科学的に解明した中心人物です。
2. Kishor Gulabivala(キショール・グラビバラ)
- 出身地: タイ
- 所属機関: ロンドン大学(UCL)のEastman Dental Institute
- 主な功績:
- 歯根の解剖学的特徴と治療成功率に関する研究を数多く発表。
- 歯科教育者としても活躍し、若手歯科医師の育成に尽力。
- システマティックレビューでは、研究全体を監修し、研究の方向性を示す重要な役割を担った。
Gulabivala氏は、歯内療法の基礎研究と臨床研究を橋渡しする存在で、特に歯の構造に関する知見を多く提供しました。
3. Parashos Peter(パラショス・ピーター)
- 出身地: オーストラリア
- 所属機関: メルボルン大学の歯学部(Melbourne Dental School)
- 主な功績:
- 臨床研究の設計や統計解析の専門家として活躍。
- エビデンスベースの医療を推進し、歯科分野の研究ガイドライン作成に貢献。
- Ngらのシステマティックレビューでは、データ解析を担当し、信頼性の高い結論を導き出した。
Parashos氏は、歯科医療の科学的根拠を明確にすることを目指し、エビデンスに基づいた治療の重要性を広めています。
3人のチームとしての功績
- 研究成果:
Ngらのシステマティックレビューシリーズでは、根管治療の成功率やそれに影響を与える要因が徹底的に分析されました。- 初回治療の成功率を約75~90%と示し、病変の有無や治療技術が結果に与える影響を明らかにしました。
- 最新技術(マイクロスコープやNiTiファイル)の有用性や、術者の経験が成功率に大きく関与することを確認しました。
- 世界的な影響:
このシリーズは、世界中の歯科医師が参考にしている歯内療法ガイドラインの基礎となり、根管治療の質を向上させるエビデンスを提供しました。
まとめ
Ngら3名の研究者は、それぞれ異なる強みを持ちながら、世界中の歯科医療に貢献する画期的な研究を成し遂げました。特に、根管治療の成功率に関するエビデンスは、患者さんの歯を保存するために重要な指針となっています。これから根管治療を受ける方も、この研究によって裏付けられた治療の有効性を信頼して、安心して治療に臨んでいただければと思います。
最後にNgさんのお写真がありました。人物像がわかると論文も入ってきやすいですね!