【症例紹介】MB根が2根管性だったケース【CT診断とマイクロスコープの活用】case4.
こんにちは。今回は、当院で実際に行った**根管治療の症例(Case 4)**をご紹介します。
このケースでは、MB根(近心頬側根)に2つの根管があるという特徴的な構造が見られました。
説明YouTubeはこちらhttps://youtu.be/IjoOlKphRmw
他院からの紹介で来院された患者様
患者様は、他の歯科医院で根尖病変を指摘され、詳しい診断と治療のために当院を受診されました。
さっそくCT撮影を行い、詳しく診ていくことにしました。
CTによる精密診断の重要性
CTは通常のレントゲンに比べて情報量が多く、より正確な診断が可能です。
実際、大阪大学時代の野入先生が歯内療法学会で発表された内容でも、
マイクロスコープとCTの併用によって根管治療の精度が大幅に向上することが報告されています。
各断面から見る根の状態
術前CTです。

冠状面(かんじょうめん)
CTの冠状面画像では、頬側に2本の根が確認され、その部分に十分な清掃がされていない様子が見られました。
また、骨の吸収像(黒い部分)も確認できました。
横断面(おうだんめん)
この歯には3本の根があり、その中の近心頬側根は扁平な形状をしていました。
こうした扁平な形状は、見逃しやすく、清掃が不十分になりがちです。
矢状面(しじょうめん)
根管内には、丸く細い形状の薬剤が充填されていましたが、
根の形に合っておらず隙間が生じていたため、感染リスクが高い状態でした。
治療後の結果
CTで確認できた変化
術後のCTです。

治療後のCT画像を見ると、以下の改善が確認できました:
- 冠状面では、頬側の2根にしっかりと薬剤が充填されている
- 骨の吸収部が縮小し、白い部分(再生骨)が増加している
- 矢状面では、扁平な根管の形に合わせた治療が行われている
Before & After 画像での比較
治療前後を比較すると、以下のような明確な変化が見られました:
- 扁平な根管に2つの管が存在していた
- 清掃されていなかった管も適切に清掃・充填されている
- 骨吸収部の改善が進んでいる
今回のキーポイントまとめ
- 近心頬側根は扁平な形状
- 2根管性であり、根尖が2つ存在
- CTとマイクロスコープの併用で問題を的確に把握
このように、複雑な根の形状でも、CTとマイクロスコープを活用すれば精密な診断と確実な治療が可能になります。
治療期間約2ヶ月
治療費 約18万円