根管治療で細菌はどこまで減る?NiTiロータリーと手用器具の違い
歯の神経が感染すると、根管治療(歯の根の治療)が必要になります。この治療では、細菌をできるだけ減らすことが成功のカギになりますが、完全に無菌にするのは難しいとされています。
今回ご紹介するのは、1998年に発表された研究です。この研究では、根管治療でよく使われる2種類の器具について、どちらが細菌をより減らせるのかを比較しました。
2種類の器具とは?
この研究では、次の2つの方法を比べました。
- ニッケルチタン(NiTi)ロータリー器具
- 電動で回転する器具を使う方法
- しなやかで根の形に沿いやすい
- 治療時間が短くなるメリットがある
- ステンレススチールKファイル(手用器具)
- 手で動かして削る方法
- 昔から使われている伝統的な方法
- 細かい調整がしやすい
どちらの方法でも、細菌を減らすために生理食塩水で洗浄しながら治療を行いました。
研究の結果
この研究では、根尖性歯周炎(根の先に炎症がある歯)の患者48名を対象に、それぞれの方法で治療を行い、治療前・治療中・治療後の細菌の数を調べました。
結果は以下の通りです。
- どちらの方法でも細菌は大きく減少した(p < 0.0001)
- 2つの方法で細菌の減り方に差はなかった(p = 0.42)
- 完全に無菌にはならなかった
つまり、NiTiロータリー器具と手用のステンレススチールKファイルでは、細菌を減らす効果に違いがなかったということです。
この研究からわかること
- どちらの方法でも細菌はしっかり減る
- どちらを使っても、根管治療をすれば細菌は大きく減ることが確認されました。
- NiTiロータリーは治療時間を短縮できる
- 細菌の減り方は同じでも、NiTiロータリー器具は短時間で治療できるため、患者さんの負担が軽くなる可能性があります。
- 完全に細菌をゼロにするのは難しい
- どちらの方法でも細菌を完全に取り除くことはできなかったため、消毒や薬の力も重要になります。
まとめ
この研究では、NiTiロータリー器具と手用器具のどちらを使っても、根管内の細菌を減らせるが、どちらも完全な無菌にはならなかったことがわかりました。
しかし、NiTiロータリー器具は治療時間が短縮できるため、今では多くの歯科医院で使用されています。とはいえ、治療の成否は器具だけで決まるわけではなく、しっかりとした消毒や薬の処置が重要です。
根管治療を受ける際は、どんな器具が使われるのか、またどのように細菌を減らしていくのかを歯科医師に相談すると、より安心して治療を受けられるでしょう。
感想 NTファイルの特徴はその柔軟性にあります。ただ、それだけではなく形成された断面が仕上がってるところにあります。ステップバックという煩雑な方法を取らなくても、より確実で綺麗な結果が得られます。NTファイルが出始めた頃の論文ですね。昔はNTファイルは悪だという雰囲気があり、大学でも教えてくれませんでした。現在とは逆ですね。
昔使用していたTFファイルです。
