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根管治療における0.5%次亜塩素酸ナトリウムの有効性

根管治療において、最もメジャーな洗浄薬に次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)があります。歴史も深く、昔から使われています。その中で、一つ論文を紹介したいと思います。

1983年に発表された研究では、根管治療における感染管理の重要性が検討されました。その中で、次亜塩素酸ナトリウムは長年にわたり根管洗浄剤として使用されており、その有効性が評価されています。本記事では、0.5%次亜塩素酸ナトリウムが根管治療においてどのような細菌学的効果をもたらすのかを紹介します。

1. 0.5%次亜塩素酸ナトリウムとは?

次亜塩素酸ナトリウムは強力な殺菌作用を持つ化学物質で、低濃度でも効果的な抗菌作用を示します。一般的に、根管洗浄には0.5%から5.25%の濃度で使用されますが、低濃度(0.5%)でも十分な殺菌作用が得られる可能性があります。

2. 細菌学的評価

0.5%次亜塩素酸ナトリウムが根管内の細菌に与える影響を評価するため、以下の点を分析しました。

  • 細菌の除去率: 低濃度であっても、主要な根管内細菌に対して効果的な殺菌作用を示すか。
  • バイオフィルムへの影響: バイオフィルムを形成する細菌にどの程度効果があるか。
  • 歯質への影響: 低濃度のため、象牙質への悪影響が少ないか。

3. 研究結果と考察

0.5%次亜塩素酸ナトリウムの抗菌効果を評価するため、単根管を持つ15本の歯を用いた研究が行われました。各歯は5回の治療セッションを受け、そのたびに根管内の細菌の存在が評価されました。治療の間に抗菌的な根管内薬剤は使用されませんでした。

その結果、0.5%次亜塩素酸ナトリウムを使用した場合、5回目の治療時点で15本中12本の根管から細菌が検出されなくなったことが報告されました。これに対し、生理食塩水を洗浄剤として使用した場合には15本中8本の根管で細菌が検出されなくなったことが確認されました。これらの結果から、0.5%次亜塩素酸ナトリウムは生理食塩水よりも効果的な根管洗浄剤であることが示唆されます。

また、バイオフィルムに対する効果も一定程度認められるものの、高濃度の次亜塩素酸ナトリウム(5.25%)と比較するとその効果はやや低い可能性があります。しかし、0.5%濃度の使用は象牙質の損傷を抑え、根管壁のコラーゲンマトリックスを保存するという利点があるため、特に象牙質の保護を優先する場合には有効と考えられます。

4. 低濃度NaOClの臨床応用

低濃度の次亜塩素酸ナトリウムを臨床的に活用する際のポイントとして、

  • 洗浄時間を十分に確保する
  • 超音波併用などで洗浄効果を向上させる
  • 他の補助的な洗浄剤(EDTAなど)と組み合わせる などの方法が挙げられます。

5. まとめ

0.5%次亜塩素酸ナトリウムは、根管治療において効果的な洗浄剤として使用できる可能性があります。特に、

  • 細菌除去効果が高い
  • 歯質へのダメージが少ない
  • 超音波併用などでさらに効果向上が可能 といった利点があります。

今後の研究によって、さらに効果的な使用法や補助的な処置が明らかになれば、低濃度次亜塩素酸ナトリウムの臨床応用がより広がる可能性があります。

6. 感想

この論文以降にも根管洗浄についての発表は多数あります。それらをご紹介するのはまたの機会になります。ただ、医院では現在0.5%、5%と使い分けております。濃度が及ぼす影響も関係していると考えているからです。ただし、濃度が高い場合、漏洩してしまうと火傷の恐れがあります。適材適所、使用していきます。

市販の6%の次亜塩素酸溶液の写真です。

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