Ngらのシステマティックレビューシリーズとは?
歯内療法(根管治療)は、歯を保存するために重要な治療法です。しかし、その成功率や治療成績に影響する要因については、これまで多くの研究が行われ、さまざまな結果が報告されてきました。
そんな中、Ngら(2007~2011年)のシステマティックレビューは、これらの研究を体系的に整理し、根管治療の成功率と影響要因を総合的に分析した、非常に信頼性の高い研究です。このレビューは、3つのパートに分かれており、それぞれのテーマごとに徹底的に調査されています。
以下では、各パートのテーマと、そこで引用された論文数について詳しく解説します。
Part 1: 根管治療の有効性
- テーマ: 初回根管治療の成功率とその有効性を評価。
- 引用した論文数: 122本
初回治療の成功率や、有効性を調べた過去の研究が集められています。
主な結論:
- 初回根管治療の成功率は、条件により異なりますが、**約75%~90%**と高いことが確認されました。
- 成功率を高める鍵は、治療を正確に行うこと。特に、感染の除去と根管充填(根管の密閉)が重要です。
患者に伝えたいこと
「根管治療は失敗するかも…」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、適切に行われた治療は非常に高い成功率を誇ります。歯を保存するために大変効果的な治療法です。
Part 2: 成功率に影響を与える臨床的および個別要因
- テーマ: 患者の条件や治療技術、術者の経験が成功率に与える影響を調査。
- 引用した論文数: 178本
患者の状態や治療技術に関する研究、術者の経験が成功率に与える影響を分析しています。
主な結論:
- 術者の経験: 専門的な知識を持つ歯内療法専門医が行った治療では、成功率が高い。
- 治療技術: マイクロスコープやニッケルチタンファイル(NiTiファイル)などの最新技術を活用することで、治療の精度と成功率が向上する。
- 患者要因: 病変の大きさや歯の解剖学的特徴(根管の形状など)によって、成功率が変わる。
患者に伝えたいこと
最新の技術を持ち、経験豊富な歯科医師が治療を行うことで、根管治療の成功率はさらに高まります。歯科医院選びの際は、専門性や設備に注目することをおすすめします。
Part 3: 長期的な成功と歯の生存率
- テーマ: 治療後の長期的な歯の健康維持や生存率について評価。
- 引用した論文数: 63本
根管治療後の長期フォローアップデータを中心に調査しています。
主な結論:
- 初回根管治療が成功した場合、歯の生存率は非常に高く、長期間健康を維持することができる。
- 治療後の補綴(クラウンなどの保護)が歯の長期的な生存にとって重要です。
- 治療が成功しても、その後の再感染や二次的な問題が歯を失う原因となる場合があります。
患者に伝えたいこと
根管治療後も定期的なフォローアップや適切なケアを行うことで、治療した歯を長く健康に保つことができます。治療後も歯を大切にすることが、健康を守る鍵です。
まとめ
Ngらのシステマティックレビューは、これまでに行われた研究を基に、根管治療の成功率やその影響要因を包括的に分析した研究です。
3つのパートに分かれており、それぞれ以下のテーマを詳しく調査しています:
- 初回治療の成功率(引用文献数: 122本)
- 成功率に影響を与える要因(引用文献数: 178本)
- 治療後の長期的な歯の健康と生存率(引用文献数: 63本)
このシリーズは、歯内療法の質を向上させるために非常に重要な指針を与えており、患者さんにも安心して治療を受けていただくためのエビデンスを提供しています。
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