福山デンタルクリニック

論文の紹介「Bacterial Reduction with Nickel-Titanium Rotary Instrumentation」について 

本日は論文のご紹介をしたいと思います。

タイトルは「Bacterial Reduction with Nickel-Titanium Rotary Instrumentation」1998年の論文です。

作者はB C Dalton 1D OrstavikC PhillipsM PettietteM Trope でいわずとしれた。Trope先生ですね。

さて、内容について書きます。根管治療における細菌の減少は、成功の鍵となる重要な要素です。本記事では、ニッケルチタン(NiTi)ロータリー器具ステンレススチールKファイルを使用した場合の根管内の細菌減少について比較した研究を紹介します。

ここでニッケルチタンファイルとステンレススチールKファイルの写真を載せます。

まずはKファイルの写真です。

昔から使われている掃除道具です。拡大率は2%で細いのが特徴です。

次にニッケルチタンファイルの写真です。

ニッケルチタンの写真です。色々な拡大率のファイルがありますが、基本は4〜6%です。

ステンレススチールファイルは2%の拡大率です。根管の形態に合わせた拡大率にするのが理想ですが、いろんなテクニックであったり、問題が出にくいということなどから、各々の拡大率になったと推察されます。

さて、今回の研究に話を戻します。

研究の概要

この研究(Dalton et al., 1998)では、根尖性歯周炎を持つ患者48を対象に、NiTiロータリー器具(0.04テーパー)とステンレススチールKファイルのステップバック法を用いた場合の細菌減少効果を比較しました。

研究方法:

  1. 無菌的な生理食塩水で洗浄しながら根管拡大を実施
  2. 根管のサンプルを、治療前・治療中・治療後に採取
  3. 37℃の嫌気環境で7日間培養し、**コロニー形成単位(CFU)**を計測

研究結果と考察

感想

 ケースセレクションをしているなという印象があります。本当にそうなら、その後、ニッケルチタンファイルがこれほどまでに市場に出回ることはなかったでしょう。それと、ここでステンレススチールファイルを使った際に、「ステップバックテクニック」をしていると記述がありました。かなり高度なテクニックです。術者が熟練であることが推察されます。「弘法筆を選ばず」という言葉もあります。

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