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根管治療した歯は脆くなるのでしょうか?

根管治療した歯は脆くなるのか?直感的には「当たり前だ!」と思ってしまいます。一番強いのは何も手を加えていない天然の歯であることを信じてやまないです。このテーマの元に実験した先生方がいます。C.M. Sedgley と H.H. Messer です。

研究の概要

この研究では、23本の根管治療を受けた歯(治療後の平均期間:10.1年)と、その反対側の健全な対になる歯の生体力学的特性(打ち抜き強度、靭性、硬度、破壊荷重)が比較されました。これらの特性は、対応のあるt検定を使用して分析されました。

注)打ち抜き強度とは 材料が「せん断(引き裂き)」される際に耐える力を測定する指標です。これは、特に歯科の材料試験や生体材料の強度試験でよく使用される概念です。

結果

  • 打ち抜き強度、靭性、破壊荷重:根管治療を受けた歯と健全な歯の間に有意差はありませんでした。
  • 硬度:健全な象牙質は、根管治療を受けた象牙質よりも3.5%硬いことが確認されました(p = 0.002)。

結論

この研究結果から、根管治療を受けた歯は、一般的に考えられているように脆くなるわけではないことが示されました。生体力学的特性に大きな差はなく、むしろ他の要因(例:修復材料、治療後のケア)が歯の破損リスクに影響を与える可能性があります。

臨床的意義

歯科医師はこの知見を基に、根管治療後の歯が脆くなることを過度に心配せず、適切な修復とアフターケアに注力することが重要です。患者もまた、適切なメンテナンスと定期的な歯科検診を続けることで、根管治療を受けた歯を長く健康に保つことが可能です。

まとめ

根管治療を受けた歯が脆くなるかどうかという疑問は、この研究により明確にされました。根管治療そのものが歯を脆くするわけではなく、他の要因に注意を払うことが重要です。

感想

なるほどと思う反面、違うんじゃない?と思う面があります。違和感があるのは治療を実際に行うと歯の厚みはやはり減ってしまいます。薄くなってしまった歯は脆く割れやすいです。よって、脆いと言う感覚はあります。ただし、もっとも問題となるのは治療した後のケアであると言う点では大いに賛成します。面白い論文でした。

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