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根管治療の目的は大きく分けて
1.黴菌を除去すること
2.再び侵入してくるのを防ぐこと
という2つがあり、前回は1. について歯の上の部分(いわゆる「歯冠部分」)についてのお話をさせていただきました。
今回は「歯根部分」ついてのお話です。
写真にもある通り、歯根部分には細いひも状になった神経の入っていた「管」があり、この「管」をきれいにすることが「根管治療」なんですが・・・・この細い管をどのように「きれい」にするのでしょうか?
過去、現在を通して様々な機械や器具がありますが、主に「ファイル」と呼ばれる「ヤスリ」を使って掃除します。
Kファイルの写真です。
Kファイルは、主に保険治療で使用されているスチール製の器具で、先が非常に細く取り扱いが難しいのですが、細い割には丈夫で、安価なため多くの歯科医師が利用しています。これを「管」にいれてゴシゴシと擦り、バイ菌や汚れを取り除くのです。このKファイルは細くて丈夫という反面、硬くて曲がりにくい、先細りの角度が緩いという欠点があります。
「管」のアップです。この管は真っ直ぐではなくて「曲線」になってます。
Kファイルの「硬くて曲がりにくい」というのと相性が良くないです。この「管」に硬いKファイルをゴシゴシ入れても、曲がりにくいので、一番先の方まで入っていかないケースが多く見られます。
この場合はどうすればいいのでしょうか?
前回は、歯根部分のお掃除の方法として、Kファイルという器具を使うものの、硬くて曲がりにくいので、最先端まで届かないケースがある・・などといった問題があることをお話させていただきました。
「それでは、Kファイルでできる範囲ですませなければいけないのか?」
「それでは、完全な治癒が期待できず、また再発するのではないか?」
という疑問を持たれるかもしれません。
また、「根管」と「相似」の形が望ましいのですが、Kファイルではかなり難しいです。「相似」であるほど、「物理的に強い」形態です。また、細菌もうまく除去できていると思われます。
そして、神経をとった「根管の形の理想形」というものがやはり、学会でも発表され(アメリカ歯内療法学会)、過不足なく削り、再感染を防ぐための材料を詰めるための形でもあります。
それが、根尖の先が 0.35mm で 6度の増加率の角度です。
しかしながら、これは一般的なお話で、例えば、細すぎる根っこや、太すぎる根っこでは当てはまりません。
なお、細菌を完全に除去していることが最低条件です。細菌の取り残しがあるなら、それを優先して、形よりもきれいにすることが大事です。
さて、このように理想的な形を簡単に作ることのできるファイルが登場しました。
NiTiファイルです。柔らかく、弾性があるのが特徴で、先端から根元にかけての増加率も、根管の形に合うようになってきています。
根管治療の目的の一つの「再び細菌が侵入してくるのを防ぐこと」がありますが、侵入してくるのを防ぐためのお薬を埋めなければいけません。上から広がった形状になっているので、お薬を埋めやすい構造になっています。ただし、この「お薬を埋めること」は様々な手法があり、それぞれにあったファイルを使うことがいいと思います。(特に若い先生がたに言いたいのは、色々と浮気をしないでくださいということ。一つ一つの特徴をはっきり掴んでからトライしてください)
ただし、デメリットとしては
・高価であること
・折れやすいこと
があり、保険治療ではなかなか使用しにくい器具です。
なお、当院では、この「NiTiファイル」も数多く揃えており、それぞれのメリット、デメリットを把握しながら使用しております。