根管治療の鍵は感染の抑制!研究が証明するその重要性
はじめに
今回ご紹介する論文は、「The Effects of Surgical Exposures of Dental Pulps in Germ-Free and Conventional Laboratory Rats」(著者: Kakehashi, Stanley, Fitzgerald)です。この研究は、根管治療が細菌感染によるものであることを証明した重要な研究の一つです。
歯の内部にある歯髄(しずい)がむし歯や外傷によって露出すると、細菌が入り込み炎症を引き起こし、やがて歯髄が死んでしまいます。この研究では、細菌が歯髄の治癒過程に与える影響を調べるため、無菌環境で育てられたラットと通常の環境で育てられたラットの比較を行いました。
この研究の結果を知ることで、根管治療の重要性が明らかになります。それでは、詳しく見ていきましょう!
なお、この論文の著者については、次回詳しくご紹介します。

研究の概要
この研究では、ラットの歯髄を意図的に露出させ、その後の治癒過程を無菌環境のラットと通常環境のラットで比較しました。無菌環境のラットは細菌がいないため、炎症がほとんど起こらず、スムーズな修復が進むことが確認されました。一方で、通常環境のラットでは細菌が歯髄に侵入し、炎症が激しくなり、組織の壊死が進行しました。
この結果から、歯髄の炎症や壊死は細菌感染によって大きく影響を受けることが明らかになりました。
細菌感染の影響
研究の結果、以下のことが分かりました。
- 炎症の違い:無菌環境ではほとんど炎症が起こらず、通常環境では激しい炎症反応が見られました。
- 歯髄の回復の違い:無菌環境では修復が進みやすく、細菌感染がある場合は回復が遅れるか、壊死に至ることが多くなりました。
- 細菌の影響:細菌が歯髄内に侵入すると、炎症が悪化し、歯髄の生存率が低下しました。
この研究が示すこと
この研究が示すことは、感染を抑えることこそが根管治療の要であることです。
感想 昔から引用されている価値の高い論文です。歯髄疾患が最近感染によるものであることを示してくれました。ただただ感謝です。